お彼岸とは?意味と由来をわかりやすく解説
お彼岸の意味と起源
お彼岸(ひがん)とは、日本の仏教文化に根付いた習慣で、 春分の日と秋分の日を中心とした7日間の仏教行事 を指します。この期間は 先祖供養を行う大切な時期 であり、多くの人が お墓参りをする習慣 があります。
「彼岸」という言葉は仏教用語で、 「此岸(しがん)」=迷いの多い現世と、「彼岸(ひがん)」=悟りの境地 という意味を持ちます。この世とあの世が通じやすい時期とされ、 先祖供養や修行に適した期間 だと考えられています。
仏教におけるお彼岸の考え方
仏教では「六波羅蜜(ろくはらみつ)」という 6つの修行 を行うことで、悟りの境地(彼岸)へ到達できるとされています。そのため、お彼岸の期間は 修行や善行を積むことが推奨されている のです。
六波羅蜜の内容は以下の通りです。
1. 布施(ふせ) … 施しをすること(寄付や親切な行動)
2. 持戒(じかい) … 戒律を守ること(ルールやマナーを大切にする)
3. 忍辱(にんにく) … 忍耐すること(怒りや苦しみに耐える)
4. 精進(しょうじん) … 努力を続けること(怠けずに精進する)
5. 禅定(ぜんじょう) … 心を落ち着かせること(瞑想や集中)
6. 智慧(ちえ) … 真理を見極めること(仏教の教えを学ぶ)
日本独自の文化としての発展
お彼岸は、 日本独自に発展した仏教行事 の一つです。実は、中国やインドなどの仏教国には「お彼岸」という概念はありません。
日本では、春分・秋分の日が 昼と夜の長さが同じになり、自然と調和しやすい時期 であることから、 先祖供養をするのに適した日と考えられるようになりました。また、農作業の節目でもあるため、 自然と共生する日本人の生活習慣とも結びついています。
まとめると、お彼岸は単なる仏教行事ではなく、先祖を敬い、自分自身を見つめ直す大切な時期 だといえます。
お彼岸はいつ?2025年の春・秋の日程
お彼岸の日程の決まり方
お彼岸の期間は、春分の日と秋分の日を中心とした7日間 です。具体的には、
- 彼岸の入り(1日目)
- 中日(4日目:春分・秋分の日)
- 彼岸明け(7日目)
となります。春分の日と秋分の日は、国民の祝日 にもなっており、 昼と夜の長さがほぼ等しくなる日 です。古来より 「太陽が真東から昇り、真西に沈む日」 とされ、仏教では「西にある極楽浄土とこの世が最も近づく時期」と考えられています。そのため、 先祖供養に最適な期間 とされ、お墓参りの風習が広まったといわれています。
2025年のお彼岸はいつ?
2025年の春・秋のお彼岸の日程は以下の通りです。
2025年 春のお彼岸
- 彼岸の入り:3月17日(月)
- 中日(春分の日):3月20日(木・祝)
- 彼岸明け:3月23日(日)
2025年 秋のお彼岸
- 彼岸の入り:9月19日(金)
- 中日(秋分の日):9月22日(月・祝)
- 彼岸明け:9月25日(木)
2025年は、春分の日・秋分の日ともに 祝日 となりますが、曜日の関係で 3連休にはなりません。しかし、週末と合わせて休みを取れば、お墓参りや親族との集まりを計画しやすいでしょう。
春と秋のお彼岸の違い
お彼岸は年に2回ありますが、春と秋で意味合いに違いはありません。ただし、日本では季節に合わせた行事が大切にされているため、春と秋でお供え物や食べ物に違いが見られます。
- 春のお彼岸:「ぼたもち」をお供えする
- 春の花である牡丹(ぼたん)にちなんで「ぼたもち」と呼ばれる
- 小豆(あずき)の赤い色には邪気を払う力があるとされる
- 秋のお彼岸:「おはぎ」をお供えする
- 秋の花である萩(はぎ)にちなんで「おはぎ」と呼ばれる
- 基本的な作り方はぼたもちと同じだが、秋の収穫時期の新米を使うことが多い
また、春は 「新しい生命が芽吹く季節」 であり、秋は 「収穫を感謝する季節」 という背景もあります。そのため、お彼岸にお供えする食べ物や行事の意味合いも少し異なります。
お彼岸にすることとは?
お彼岸の期間には、先祖供養を中心に、日頃の行いを見直す機会 として大切にされてきました。以下に、お彼岸に行う主なことを紹介します。
① お墓参りをする
お彼岸といえば、お墓参り が最も一般的な行事です。家族や親族とともに先祖の墓を訪れ、感謝の気持ちを伝えます。
お墓参りの流れ
1. 墓石の掃除
- 墓石の汚れを落とし、雑草を取り除く。
- お墓の周りもきれいにして、先祖を気持ちよく迎える準備をする。
2. お供え物を供える
- 花(春は牡丹、秋は萩が好まれる)
- ぼたもち(春)やおはぎ(秋)などの和菓子
- 故人が好きだった食べ物や飲み物(お酒なども可)
3. お線香をあげる
- お線香の煙は「浄化」の意味があり、心を落ち着かせる効果もある。
- 一般的には火をつけた後に手であおぎ、火を消してから供える。
4. お参りする
- 合掌し、感謝の気持ちを込めて祈る。
- 家族の近況報告をするのもよい。
② 家で仏壇をお参りする
お墓が遠くて行けない場合は、自宅の仏壇でお参りをする ことも大切です。お彼岸の期間中、朝晩に手を合わせ、故人を偲びましょう。
仏壇へのお供え
- お花(生花が望ましいが、造花でも可)
- おはぎやぼたもちなどの供え物
- お線香をあげる
特にお彼岸の 中日(春分・秋分の日) は、仏壇のお参りを丁寧に行うとよいとされています。
③ 六波羅蜜を意識して過ごす
お彼岸は、単なる先祖供養の時期ではなく、自分自身の行いを見直す機会 でもあります。仏教では「六波羅蜜(ろくはらみつ)」という6つの徳目を実践することが大切だとされています。
1. 布施(ふせ) … 人に親切にする(寄付や助け合い)
2. 持戒(じかい) … 規律を守る(ルールやマナーを大切にする)
3. 忍辱(にんにく) … 怒りを抑える(感情的にならず、冷静に)
4. 精進(しょうじん) … 努力を続ける(仕事や勉強に励む)
5. 禅定(ぜんじょう) … 心を落ち着ける(瞑想や心の整理をする)
6. 智慧(ちえ) … 正しい判断をする(物事の本質を見極める)
お彼岸の期間は、日々の行動を見直し、善行を積むことで、自分自身も成長する機会 となります。
④ 家族との時間を大切にする
お彼岸は、家族で集まる機会でもあります。食事を共にし、先祖の話をすることで、家族の絆を深める ことができます。
お彼岸の時期に、お供えとして作られる「ぼたもち(春)」や「おはぎ(秋)」を家族で一緒に作るのも良いでしょう。子どもたちにも、お彼岸の意味を伝える機会になります。
まとめ
お彼岸には、お墓参りや仏壇のお参りをして、先祖への感謝を伝えることが大切 です。また、六波羅蜜を意識しながら、日々の行動を見直し、善行を積むことで心を豊かにする機会 にもなります。
家族と共に過ごし、先祖を敬う気持ちを大切にしながら、穏やかなお彼岸を迎えましょう。
お彼岸のお供え物|何を用意すればいい?
お彼岸には、先祖への感謝を込めてお供え物を準備するのが一般的です。お供え物には「五供(ごく)」と呼ばれる基本のお供えがあり、それに加えてお彼岸ならではの食べ物を用意することが多いです。ここでは、お彼岸のお供えにふさわしいものを紹介します。
① お彼岸の基本のお供え「五供(ごく)」
仏壇やお墓に供える基本のお供え物として、「五供(ごく)」が大切にされています。
- 香(こう):お線香
- 香りは邪気を払うとされ、供養のために欠かせません。
- 花(はな):供花(きょうか)
- 白や紫、黄色の菊やユリが定番。春は牡丹(ぼたん)、秋は萩(はぎ)もおすすめ。
- 灯(とう):ロウソクの灯り
- 「光明を与える」という意味があり、仏様を敬う気持ちを表します。
- 浄水(じょうすい):清らかな水
- 毎朝交換するのが理想的で、心を清める意味があります。
- 飲食(おんじき):食べ物や飲み物
- 故人の好物や、伝統的なお彼岸の食べ物をお供えします。
② 春と秋で異なる伝統的なお供え物
お彼岸ならではのお供え物として、春と秋で異なる食べ物が用意されます。
春のお彼岸|ぼたもち
- 「牡丹餅(ぼたもち)」 とも書かれ、春の花「牡丹(ぼたん)」にちなんでいます。
- もち米とうるち米を混ぜたものをあんこで包んだもの。
- 小豆の赤色には邪気を払う力があるとされ、昔からご先祖様への供養に用いられてきました。
秋のお彼岸|おはぎ
- 「萩の餅(おはぎ)」 が由来で、秋の花「萩(はぎ)」にちなんでいます。
- 作り方はぼたもちとほぼ同じですが、秋は新米の季節なのでより粘り気のある米を使うことが多いです。
基本的には同じ食べ物ですが、季節ごとの花の名前で呼び方が変わるのが特徴です。
③ お彼岸におすすめのお供え物
お彼岸には、和菓子や果物、精進料理など、さまざまな食べ物がお供えされます。
お供えとして定番の食べ物
種類 | 具体例 | ポイント |
---|---|---|
和菓子 | ぼたもち、おはぎ、団子、羊羹 | 甘いものは仏様が喜ぶとされる |
果物 | りんご、梨、ぶどう、柿 | 季節の果物が好まれる |
精進料理 | 煮物(昆布、しいたけ、人参、大根) | 肉や魚を避け、精進料理を意識 |
故人の好物 | お茶、お酒、お菓子 | 故人が好きだったものを供える |
果物をお供えするときの注意点
果物は 腐りやすいものは避ける のが基本です。例えば、バナナや柑橘類は日持ちがしにくいため、りんごや梨などの比較的長持ちする果物 が好まれます。
④ お供え物のマナーと注意点
お供えをする際には、いくつかのマナーや注意点があります。
✅ お供え物の置き方
- 仏壇にお供えする場合
- 「五供(お線香、花、ロウソク、水、食べ物)」をバランスよく配置する。
- 食べ物は仏壇の中央に供えるのが基本。
- お墓にお供えする場合
- 食べ物や飲み物は長時間置かず、お参り後に持ち帰るのがマナー。
- 供えたままにするとカラスや動物に荒らされる原因になる。
✅ 肉や魚は避ける
仏教の教えでは、殺生を避ける精進料理が基本 とされるため、肉や魚をお供えするのは避けたほうがよいとされています。ただし、故人が好きだった食べ物であれば、お供えしても問題はありません。
✅ お供え後はどうする?
お供えした食べ物は、時間が経ったら家族で分けて食べるのがよいとされています。
これは、「仏様と一緒にいただく」という意味があり、供養の一環とされています。
まとめ
お彼岸には、「五供(ごく)」を意識しながら、ぼたもちやおはぎを供えるのが一般的 です。また、果物や精進料理など、故人が喜ぶものを供えつつ、マナーを守って丁寧にお参りしましょう。
お供えしたものは、後で家族と一緒にいただくことで、ご先祖様とのつながりを感じながら、お彼岸を大切に過ごすことができます。
お彼岸の入り・中日・明けとは?
お彼岸の期間は 7日間 あり、「彼岸の入り」→「中日」→「彼岸明け」 という流れで進みます。それぞれに意味があり、お墓参りや供養をするタイミングとして大切にされています。
① 彼岸の入りとは?
お彼岸の最初の日(1日目) であり、お彼岸の準備を整える日です。
- 2025年の彼岸の入り
- 春のお彼岸:3月17日(月)
- 秋のお彼岸:9月19日(金)
この日は、お墓や仏壇を掃除し、お供え物を準備するのが一般的です。お墓参りに行く人もいますが、中日や週末に合わせて訪れる家庭も多いです。
彼岸の入りにすること
✅ お墓や仏壇の掃除をする
✅ お供え物(ぼたもち・おはぎなど)を準備する
✅ お墓参りの予定を立てる
お墓を綺麗にして、気持ちよくご先祖様を迎える準備を整える日です。
② 中日とは?
彼岸の4日目 にあたり、春分の日・秋分の日にあたる特別な日 です。
- 2025年の中日(春分・秋分の日)
- 春のお彼岸:3月20日(木・祝)(春分の日)
- 秋のお彼岸:9月22日(月・祝)(秋分の日)
中日は、昼と夜の長さが同じになる日であり、太陽が真東から昇り、真西に沈むことから、極楽浄土(西方浄土)とこの世が最も近づく日 とされています。
そのため、この日は「先祖供養をするのに最適な日」とされ、お墓参りをする人が多くなります。
中日にすること
✅ お墓参りをして、ご先祖様に感謝を伝える
✅ 仏壇でお参りし、お供え物を供える
✅ 善行(六波羅蜜)を意識し、良い行いを心がける
特に 「六波羅蜜(ろくはらみつ)」の実践 が推奨されており、以下のような善行を意識するとよいでしょう。
- 布施(ふせ) … 人に親切にする
- 持戒(じかい) … ルールやマナーを守る
- 忍辱(にんにく) … 怒りを抑え、忍耐する
- 精進(しょうじん) … 努力を続ける
- 禅定(ぜんじょう) … 心を落ち着ける
- 智慧(ちえ) … 物事の本質を見極める
③ 彼岸明けとは?
お彼岸の最終日(7日目) であり、お彼岸の期間が終わる日です。
- 2025年の彼岸明け
- 春のお彼岸:3月23日(日)
- 秋のお彼岸:9月25日(木)
彼岸明けは、お供え物を片付けたり、お墓参りができなかった場合はこの日に訪れる ことが多いです。また、お供えした食べ物(ぼたもち・おはぎなど)は、家族で分けて食べる習慣もあります。
彼岸明けにすること
✅ お供え物を下げ、家族で分けていただく
✅ 仏壇やお墓のお参りを改めてする
✅ これからも感謝の気持ちを持って過ごす
お彼岸は「先祖を思い、善行を積む期間」とされていますが、彼岸明けを迎えた後も、ご先祖様に感謝しながら日々を過ごすことが大切 です。
まとめ
お彼岸は 7日間 あり、「彼岸の入り」→「中日」→「彼岸明け」 という流れで進みます。それぞれの意味を理解し、お墓参りや供養をするのに適した日を選んで行動するとよい でしょう。
- 彼岸の入り → 掃除や準備をする日
- 中日(春分・秋分の日) → 最も供養に適した日
- 彼岸明け → お彼岸の締めくくりの日
お彼岸の期間を通して、ご先祖様への感謝の気持ちを忘れず、穏やかに過ごしましょう。
まとめ|お彼岸を大切に過ごそう
お彼岸は、日本の伝統的な仏教行事であり、先祖供養と自身の心を整える大切な期間 です。春と秋の年2回訪れ、「彼岸の入り」→「中日(春分・秋分の日)」→「彼岸明け」 という7日間の流れで進みます。
お彼岸には、以下のようなことを行うのが一般的です。
✅ お墓参りをして、ご先祖様に感謝の気持ちを伝える
✅ 仏壇を掃除し、お供え物(ぼたもち・おはぎなど)を用意する
✅ 六波羅蜜を意識し、善行を積む
✅ 家族と過ごし、食事や会話を楽しむ
また、春は「ぼたもち」、秋は「おはぎ」をお供えし、果物や精進料理を用意することが伝統的とされています。お供え物は、お参り後に家族でいただくことで、仏様とのつながりを感じることができます。
お彼岸は、ご先祖様と心を通わせる期間
お彼岸は、単なる先祖供養の機会ではなく、家族との絆を深め、自分自身の生き方を振り返る機会 でもあります。
仏教では、「六波羅蜜(ろくはらみつ)」という六つの善行を実践することで、心が豊かになるとされています。お彼岸の期間に、普段の生活を見直し、良い行いを意識すること で、自分自身も成長できるでしょう。
お彼岸を通じて、穏やかな心で日々を過ごそう
お彼岸の時期に大切なのは、「感謝の心」と「穏やかな気持ち」 です。
✅ ご先祖様が見守ってくれていることを感じる
✅ 身の回りの人々に感謝し、優しく接する
✅ 忙しい日々の中で、少し立ち止まり、自分の心と向き合う
こうした気持ちを持つことで、お彼岸が終わった後も、心が穏やかで豊かな生活を送ることができるでしょう。
最後に
お彼岸は、仏教の教えに基づいた行事ではありますが、宗教を超えて、「先祖を敬い、家族を大切にし、自分を見つめ直す期間」 として、多くの人々に受け継がれています。
「お彼岸の期間だけ特別なことをする」のではなく、日々の暮らしの中で感謝の心を持ち続けることが大切 です。
今年のお彼岸は、ご先祖様を偲びながら、心を整える穏やかな時間 を過ごしてみてはいかがでしょうか?

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